近年、「入浴後10分以内に保湿を」というスキンケア常識が広く浸透しています。このルールを推奨する皮膚科医も多く、SNSでも数多くの情報が飛び交っています。しかし、私はこの通説に対して新しい視点を提案します。それは、「入浴後10分以内の保湿が必須ではない」という考え方です。その理由と具体的なスキンケア方法を以下に詳しくご紹介します。

なぜ10分以内の保湿が推奨されているのか?

入浴時には、皮膚の表面にある油分や保湿成分が失われます。例えば、セラミドや天然保湿因子(NMF)は水や洗浄の影響で流出してしまいます。また、ゴシゴシと肌をこすることで、角層(皮膚の一番外側の層)は剥がれ落ちています。

その結果、肌の水分が急速に蒸発し、入浴直後が一日の中で最も乾燥しやすい状態になるのです。こうした背景から、「入浴10分以内に保湿を」というスキンケア方法が一般化しました。

新しいスキンケアの提案

私がおすすめするのは、セラミドを含んだ化粧水やボディローションを活用することです。これらは肌になじみやすく、ベタつきが少ないため、快適に使用できます。以下の手順で保湿ケアを行うと、従来の方法よりも効果的かつ快適です。

1.セラミド含有の化粧水やボディローションを使用

入浴後、全身に軽く塗布することで、肌の水分蒸発を防ぎます。これにより、保湿効果が約1時間持続し、肌の乾燥を防ぐとともに、身体の火照りを冷ますことができます。

2.ご自身の快適なタイミングで乳液やクリームを使用

入浴直後ではなく、体のほてりが落ち着いたタイミング(約1時間後)に乳液やクリームを塗ることで、不快感を感じることなく保湿ケアを行えます。

3.「上がり湯をしないでください」と記載された入浴剤を活用

入浴剤の中には、オイルのベールで肌を包み込む効果があるものがあります。これを使用することで、入浴後の肌の水分蒸発を防ぎ、保湿効果をさらに得ることができます。

新しい習慣で快適な肌ケアを

「10分以内の保湿」というルールにとらわれず、セラミド含有製品や適切な入浴剤を活用することで、効率的かつ快適なスキンケアが可能です。これにより、身体の火照りによる不快感を防ぎながら、適切な保湿ケアを実現できます。ぜひ新しいスキンケア方法を取り入れて、健やかな肌を目指しましょう。

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豊田雅彦

監修者 豊田雅彦

富山医科薬科大学(現:富山大学)医学部卒業後、富山大学皮膚科講師を務めるかたわら、ボストン大学医学部皮膚科学教室、皮膚病理・電子顕微鏡部門に留学し、2005年に「うるおい皮ふ科クリニック」を開業。受診患者の99%(年間約3万人)の症状を軽減〜消失に導いた、世界有数の皮膚病・かゆみのスペシャリスト。『新しい皮膚の教科書―医学的に正しいケアと不調改善―』(池田書店)など著書多数。

経歴

  • 1990年

    富山医科薬科大学(現:富山大学)医学部卒業

  • 1994年~1996年

    米国ボストン大学医学皮膚科学教室に留学し、皮膚老化や神経など多彩な研究を行う。

  • 2003年

    富山大学皮膚科講師

  • 2005年〜

    うるおい皮ふ科クリニックを開業

所属学会・専門医など

  • 日本医師会

  • 千葉医師会

  • 松戸医師会

  • 東京慈恵会医科大学皮膚科非常勤講師

  • 日本皮膚科学会専門医

  • 日本アレルギー学会専門医

  • 日本皮膚かたち研究学会理事

  • 日本研究皮膚科学会評議員

  • 日本和漢医薬学会評議員

  • 日本臨床分子形態学会評議員  他

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ABOUT

アトピック

私が院長を務める「うるおい皮ふ科クリニック」では、
20年以上にわたりアトピーを中心とした治療に携わり、
多くの患者様のお声に耳を傾けてまいりました。

近年、外用薬を用いた対処療法に加えて
適切な知識に基づく根本的な体質改善を求める声が、
非常に増えております。

私たちはこのメディアを通じて、
一人でも多くの方がアトピーの苦しみから解放されるよう、
責任を持って正しい情報発信に取り組んでまいります。

うるおい皮膚科
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豊田 雅彦  院長

医療法人社団皮潤会
うるおい皮ふ科クリニック
豊田 雅彦 院長